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[コメント] 殺しのドレス(1980/米)

サイコ』から経過した20年の歳月を楽々無視する映画ヲタクの人権感覚に吐き気を覚える。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ヒッチコックは多重人格障害を恐怖のネタにした。夏目漱石は中国人を臭いと書いた。古典作品を観るときは、時代状況を割り引くことが求められる。人権意識は推移しているのであり、何かを撮ったり書いたりするためには、少なくともこれを意識し、もしこれに抵抗するのであれば、ブニュエルのように何らかの方法が求められる。この当たり前の話を本作は無視している。ヒッチ先生の手法をパクるのは可愛らしい程度だが、内容までパクって平然としているのは異常。その幼児性は実に気持ちが悪い。

本作は多重人格障害の他にも、黒人と精神病院を恐怖のネタに使っている。精神病院はさすがに夢オチにする程度の防御線は張っているが、電車のチンピラに白人を加える悪知恵は思いつかなかったらしい。いや意外と、悪貨は良貨を駆逐すると云った日本の政治家のような主張を持っておるのかも知れんが、悪寒がするのは同じことである。

母親の裏側を知ってしまった科学少年がすぐさま娼婦と親友になるのも納得できない。登場人物が作者の観念的な操り人形にしか見えない。ヲタクにありがちなことではある。

(評価:★1)

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