[コメント] 戒厳令(1973/日)
北一輝の優柔不断を、煮え切らないままに蜿蜒と描き、最期の捨て台詞に至る。この軟体動物の気味悪さこそ我々の知り得ない政治そのもの。何も描かれないゼロ地点。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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北が思想を説く件が曰く云い難い。「戒厳令の厳粛に人々は内なる秩序を見出す」「人々はそこに陛下をみるかも知れない」。このオケイショナリズムを滔々と説く相手が頑是ない子供なのもすごい冗談だが、この厳粛については考えさせられる。オウムも3.11も、日本人は厳粛の忘我を愉しんでいなかっただろうか。本作は集団心理の病根を抉り出して止まない。類例のない傑作。
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