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[コメント] かぶりつき人生(1968/日)

コミマサ流のストリップとヒモのユルい話。何もかもことごとく突き抜けない徹底してインポテンツな映画。♪私の胸に住む 一匹の狐。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







登場人物が多過ぎて整理できていない処があると思う(御無体な編集されたか)。若い頃の中島みゆきみたいな殿岡ハツエがどんどんケバくなるのが哀愁で、ヒモの暗殺をゆきずりの男と画策する件が盛り上がるのだが、執行は見送られる(窓の外の団地のライトがさっと消えるショットが印象的)。こういうインポテンツ感が全体を覆っている。爽快なのはレーシング場で車飛ばす件ぐらい。

丹羽志津は絵沢萌子さん路線でディヴァインみたい。殿岡との親子丼ストリップの話だと思っていたらそうはならず、後半この母はいなくなる。親子丼のほうが面白かったのではないか。

丹羽はストリップのドサ廻りで余呉という長浜の駅と粟野という敦賀の駅に降り立っている。五発二十円の射的。ピンク映画に出てマンション住まいになるが、千里丘みたいな団地をマンションと呼んでいる。九条OS、飛田OSも記録されているらしい。

雨の中、射的場の前の広場から海の方へ風船売りの小母さんがたくさんの風船持って去る後ろ姿のワンショットがとてもいい。週刊誌見て名古屋からやって来た男が殿岡にフラれてナイフで刺す件の、狭い狭い屋根裏もいい。日活モノクロ撮影陣の最後の輝きの趣。神代のモノクロ作は本作のみか。

神代(1927-95)は本作で初めて姫田真佐久(1916-97)と組んでいる。直前(と云っても直近は63年)の助監督時代、神代がついたのは殆どが斎藤武市(しかも小林旭作品が多い)で、斎藤組は高村倉太郎が多い。姫田はもちろん、40年代からのキャリアがある。

ふたりが救急車に相乗りする(させるのか)というインポテンツにコミックなラスト、この救急車が走り去ると若い男女が延々ゴーゴーを踊っているビルの内部が映るラストショットが、脈絡なくとても印象的。アンニュイなボサノバもとてもいい。♪男は男 女は女 みんなはみんな 私の胸に住む 一匹の狐 今日も谷間に 吠える狐

(評価:★4)

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