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[コメント] フローズン・リバー(2008/米)

かつて『ラスト・オブ・モヒカン』でダニエル・デイ・ルイスを苦しめたあのモホーク族が!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アメリカ先住民モホーク族は、北米大陸が植民地化されて早々にオランダ人と友好関係を結び交易をしていたんですね。後々、北米を舞台にイギリスとフランスが植民地戦争をした時はイギリス側に協力したの。この戦争、最初はフランス有利だったのに最後はイギリスが勝って北米を全部支配したわけ。この植民地戦争のフランス有利の頃を舞台としたのが『ラスト・オブ・モヒカン』なのです。最初有利で結局負けるというパターン、おフランス野郎はナポレオンで同じ過ち繰り返してるんだけどね。第二次世界大戦で初めて最初に負けて後で(他力本願で)勝つまで基本的に変わってないのに、弱小国に成り下がってないのが不思議だよ。 んで、北米は完全なイギリスの植民地と化した結果、敵がいなくなってイギリス本国の支援が不要になったわけさ。その先にアメリカ独立戦争があるわけよ。で、独立戦争時にモホーク族は(多くの先住民の部族も)反米側についたわけさ。アメリカ側からみれば、対イギリスと先住民、2つの敵がいたんだな。 アメリカ独立後も延々先住民と戦争してんの。これねえ、機会があったら読むと面白いよ。18世紀丸々、100年以上も延々びっくりするほど先住民と戦争してるから。だからアメリカは護身のための銃社会なんだな、きっと。 これは今調べて知ったんだけど、1830年に「インディアン移住法」ってのが出来て、先住民を住まわせる保留地が出来たらしいのだ。渋々強制移住を受け入れる部族、拒否して戦いを続ける部族様々だったそうだが、おそらくモホーク族は強制移住を受け入れた部族だったんでしょう。早々に入植者と友好な関係を保った一族だしね。

こうして生まれた保留地がこの映画の舞台なのですが、この長いウンチクはこの映画に全然関係ない!自分でもびっくりだ!

言いたいだけ言っといて無理矢理つなげるけど、こうしたアメリカの「負の歴史」の集積がこの映画の背景にあるんです。制作側が意図してるかどうか知りませんけどね。「今」を切り取ったら歴史的背景が伴ったというのが正解かもしれないけど。

それを「母の想い」という女性監督ならではの普遍的な視点から見つめている。たぶん、そういう映画。

(10.02.21 渋谷シネマライズにて鑑賞)

(評価:★4)

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