[コメント] 真実(2019/日=仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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劇中劇がSFということよりも、「母娘の物語」がSFだと思うんですよね、是枝にとって。
たしかに是枝作品は「家族」を扱った作品が多くあります。そして自身の経験を踏まえて「父との関係」を描くことが多いのです。 たしか、自分の父親が苦手だったとかで、分かりやすいところでは『歩いても 歩いても』やテレビドラマ「ゴーイング マイ ホーム」で父と疎遠、『海街diary』で父不在。自分に子供が生まれたら『そして父になる』(これも根底は父側から子供と気持ちが疎遠の話だ)。
前作『万引き家族』で「母親」の物語に触れましたし、『三度目の殺人』で真実と嘘の物語を描いてはいますが、「母と娘」というのは空想科学だったと思うのです。 結果この映画は、いわば「そして母になる」と思ったらならんのかいっ!
あたかもベルイマン『秋のソナタ』かの如く宣伝されていましたが、『スター誕生』あるいはアサイヤス『アクトレス』の様相を呈してきて、終いにはまるで新藤兼人『午後の遺言状』。ドヌーヴは杉村春子(<言いたいだけ)。嫌んなっちゃうなぁ(<『東京物語』の杉村春子のマネ)。
そうは言いながら、実は是枝映画ではなく、ドヌーヴにジュリエット・ビノシュにサニエ嬢という女優陣をウヒウヒ観に行ったんですけどね。控室(?)でドヌーヴとサニエ嬢がウダウダ年齢の話してるとこなんか大好き。サニエ嬢久しぶりだな。というかドヌーヴとジュリエット・ビノシュの共演って記憶にないな。そしてマノン・クラヴェルという女優が素晴らしい。
結局そこだ。いい映画なんだけど、役者が濃くて、是枝映画という印象がない。 それは役者陣が凄いのか、自我を抑えられる是枝が凄いのか。
あー、でも、ラストショットは「家族の映画」なんだよな。 杉村春子ドーン!THE女優映画!というのはやっぱり違う。
(19.11.24 恵比寿ガーデンシネマにて鑑賞)
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