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[コメント] ベネデッタ(2021/仏=オランダ=ベルギー)

綺麗事は疑え!
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私はバーホーベン作品を『ロボコップ』と『スターシップ・トゥルーパーズ』しか観ていないので、バーホーベン自身が言うところの「ベネデッタは『氷の微笑』『ショーガール』『ブラックブック』『エル ELLE』のヒロインたちの親戚というわけさ」という意味が、まあ分からなくもないんですが、分かりません(<どっちなんだよ)。

でも『スターシップ・トゥルーパーズ』からは読み解けます。国家の甘言を鵜呑みにして志願した若き兵士たちが次々と惨殺されるという、皮肉に満ちた映画だと私は思っています。

この『ベネデッタ』も同じ。綺麗事は全部ウソ。

権力とか、規律とか、正論めいたものを振りかざしてくるものは疑わしいぞ!信用するな!という話。もちろんそこには、コロナ禍とかLGBTQとか、今時の社会性も取り込んでいるのでしょうけど。

ただ、バーホーベンが大人だなと思うのが(<80歳過ぎの爺さんだぞ)、そういう「綺麗ごとに騙された!」みたいなことをギャーギャーわめき立てない点。わめき立てると思想性が強くなりすぎるんですよ。のし上がる女の側もしたたかにそういう技を使ってますよね?どっちもどっちですよね?っていう描き方をしている気がします。

そうか、バーホーベンの描く女たちは、したたかに『氷の微笑』を浮かべているような女たちなんだな。お後がよろしいようで。

余談

こんなに感情をあらわにするシャーロット・ランプリングを見たのは初めてのような気がする。

(2023.02.23 アップリンク吉祥寺にて鑑賞)

(評価:★3)

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