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[コメント] 非・バランス(2001/日)

その神々しさは、小日向文世をマレーネ・デイトリッヒにさえ見せる(<言い過ぎ)
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







その湿度は全く異なるにも関わらず、冨樫森と塩田明彦は取り上げるテーマが非常に似ている。本作は塩田明彦の『害虫』に当たる。二人の類似性とその相違についていつか書いてやろうと思っているのだが、それはまた別の機会に。

この映画の(そして冨樫映画の)いい所は、主人公が一歩踏み出して終わる点にある。 人生の成功者や勝ち負けなどではなく、一歩だけ、ほんの一歩だけ踏み出す。ささやかな一歩だが、主人公にとっては大きな一歩。

それは一見ありがちな話に思えるが、「自分には帰る場所がある」といったパターンではない。むしろ帰る場所は何処にもない。最後まで母親は理解してくれないし、小学校時代の因縁も未解決のままである。ただ、どこでも無い場所(海辺)で友人と二人でいる。その穏やかな瞬間こそ『非・バランス』の着地点であるというバランス。たしかにまだ粗削りな面もあるが、冨樫森の卓越したセンスがうかがえる。

ま、典型的な「鶴の恩返し」なんだけどね。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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