[コメント] さすらいのカウボーイ(1971/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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観たのは2002年リバイバル公開のディレクターズ・カット版。監督が再編集したんだからそれが正しい物だとして解釈するけど・・・ホモ映画だ(笑)。
それはそうと、ジョン・ウエインが体現し続けた「強く正しいアメリカ」の象徴としてのカウボーイは、ここには微塵もない。(マカロニウエスタンは置いといて(^o^)// )
「疲れた」「お家に帰りたい」そんな奴はアメリカではヒーローとして認められない。 西部劇というより「大草原の小さな家」だ。そりゃ“幻の映画”にされちゃうって。 カウボーイで分かりにくければ“侍”に置き換えてみればいい。 「武士は食わねど高楊枝」。見栄っ張りなくらいが男としてはカッコイイとされるのだ。
このカッコワルさはあまりにもリアルだ。映像詩とも言える美しい風景とは裏腹に、人物は決して美化されることはない。人間の(男の、と言った方が正しいか)本質に迫っていると思う。
ベトナム戦争敗色濃厚の時代を反映した映画であることは今さら言うまでもないだろう。
「家族の元に帰りたい」と主人公が言った時、「何言ってんだお前?意味わかんねーよ」的な仲間の態度。 おそらく今の時代だったら「家族の元に帰る?そりゃいい。なによりも家族は大切だからな」ってな事になるだろう。なるはずだ。ならなきゃいけない。
「家族よりも夢が大切だった時代」。
アメリカン・ドリームという言葉がある通り、これこそフロンティア・スピリットが根底に流れるアメリカの思想の根源だ。
だが、彼には夢など無かった。理由など無い。ただ出ていっただけだ。アメリカが敗れた時代。アメリカという国そのものが方向性を失ってしまった時代。実は彼こそ国と時代を体現したヒーロー像だったのだ。ただ、観客の望むヒーロー像ではなかっただけで。
30年後の今、リバイバルされたのは偶然ではないのかもしれない。
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