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[コメント] 相棒 劇場版 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン(2008/日)

断じて許すことはできません。
Lunch

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「空撮」「クレーン」「海外ロケ」これはテレビドラマが映画化される時、いつもドキドキしてみるアイテムだ。なぜだか、映画化されるとこれらが増える。なぜだか、ってこともないか。金がないと出来ないものばかり、なんだろうな?とは推察できます。 「相棒」の冒頭のシーンにはこれらがしっかり入っていて、かなり不安になった。必然があればいいけど、あるのか? スパイスばっかり入れると、本来の味がなくなっちゃうんだぞ。その辺だいじょうぶなの?

幸い、それらが鼻につくのは冒頭のみで、あとは大丈夫だった。あぁ,安心....でもない。

テレビドラマ「相棒」は、結構好きで割と観てる。なので、テレビ版の一ファンとしてみたが、見終わった後、妙な違和感が残った。テレビドラマ「相棒」は、まったく性格や背景の異なる二人が、「相棒」として、比較的穏やかに事件を解決する。いままでの刑事物とは違って、超人的に走り回ったり、拳銃やライフルをぶっ放したりはしない。メインは、さまざまな背景によって行われた犯罪(主に殺人)とその悲哀、法治社会故の無情、そして刑事それぞれではあるけど、彼らの正義が語られることにある。だから、右京は「断じて許す訳にはいきません」と憤り、薫は走り回るのだ。

劇場版「相棒」も話の筋は同じ構造になってる。たしかにいつものように右京は「やり方は間違っている」と断罪するけれど、犯人の悲哀も、社会の無情も表現されるけれど、ラスト付近ですべての決着がついたかのようなオチがつく。心情的には「うむ天晴」とかも言ってあげたい。だけど、なんだか「相棒」じゃない気がしてしまった。悪いのは社会で、それを操作していた大きな力があって、それに振り回された小さな家庭が崩壊してしまった。そうして単なる復讐劇としてではなく、社会や政治に対する鉄槌としての犯罪=殺人、というのは「わかる」。わかるが「ゆるしてはいけない」んじゃなかろうか? 普段(というのもおかしいけど)の右京なら、「殺人は許されないことです」ともっと強く言っただろうし、それを犯人が悔いるというオチになるはずだ。そうでいてほしかった。

映画とテレビドラマでは作り方や、表現方法も異なると思う。「空撮」「クレーン」「海外ロケ」もその一部なのだと思う。だけど、人気シリーズを劇場にもってくるなら、そのコアとなるものはそのまま持ってきてほしかった。

評価: 2.8。残念。だいたいおもしろかったので余計に残念。

(評価:★3)

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