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[コメント] ソーシャル・ネットワーク(2010/米)

現代的な「臨場感」を持ってみる事ができた寂しい物語。一体彼は何を得るのだろうか。物語はまだ現在進行形であることが、見終わった後にも大きな余韻を残す。
Walden

成功者の物語を映画で見るのはそれほど珍しくはないけれど、その「成功」が現在進行形で、当人がまだ現役というのは珍しいかもしれない。だからか、この映画を観るときも、臨場感のようなものを感じながら見た。

また、その臨場感は、Facebookが、自分が普段良く見るサイトであることによっても強められたし、使い始めて数年経つという意味で、一ユーザーとして少なくとも部分的にはこの「物語」を共有していることからも強められた。

それにしても、そのサイトの背景にあるのが、こんなに“寂しい”物語だとは思わなかった。Facebook創立者の裏切りを巡る話や、元は大学内のネットワークとして始まったことなどは、断片的には読んだり聞いたりしたことはあったが、こうして1つの物語として観ると、そう感じずにはいられなかった。

この映画全体に漂うザッカーバーグ氏の寂しさは、Facebookが持つ、フリーで、新しく、どこまでもつながっていく明るいイメージとは対照的で、そのことも、意外だった。

今まさに、政治すら変えるプラットフォームとなりつつあるこのサイトの背景にあるのか、立身出世の物語にありがちな、道徳的に正しいエピソードではなく、元カノへの復讐や、アイディア盗用の疑いや、持ち株配分を巡る問題である点が、とても現代的だ。そこには成功者がなぜ成功者たりえたかについて、何らかの教訓を視聴者に残すようなエピソードはない。でも、この映画で出てくるエピソードの方が、今の成功者たちの背景としては圧倒的にリアルに感じる。

これが、純粋にフィクションの映画でありば、これほど印象に残る映画ではなかったかもしれないが、こうした諸々の臨場感がこの映画を忘れがたいものにしている。

ネットの業界は移ろいが早い。数年後、もう一度、この映画を観たらまた別の感慨が湧くのかもしれない。

2011年1月30日(日) TOHOシネマズ 上大岡

(評価:★4)

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