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[コメント] チェ 28歳の革命(2008/米=仏=スペイン)

崇高な革命家とワクワクするゲリラ戦。これぞ男の子が夢見る正義とロマン。090122
しど

革命前、革命闘争中、革命後と、3つのパートを交互に挟むので、慣れるまで多少戸惑うのだが、闘争中の描写がメインになってくると、少数のゲリラ部隊が徐々に力をつけ、勝利へ向かう展開に、どんどんひきつけられていく。

作中で描かれるチェは、理想的なリーダーだ。知性と理性を包容力のある正義感に注ぎ、民衆の幸せの為に、アメリカが支援する国家と戦う。そして、自ら負傷者を治療し、読み書きを教えながら兵を育て、ゲリラ戦を勝ち抜く。

鼻白むような誇張された表現がないので、チェ本来の魅力が映し出されている(スパイク・リー監督の『マルコムX』が反対の悪い例だろう。素材が勿体無い)。

南米における悪のアメリカと戦い革命を成功させたゲリラの姿は、巨大な敵に立ち向かう少数の主人公達という少年漫画の基本設定と同じ。その上、努力、成長、勝利という展開、さらに「ドンパチ」な戦闘シーンがまた大迫力なのだから、つまらないはずがない。

勝利への今作が終わり、二本立ての来作はチェの若き死が待っている。非常に楽しみだ。ゲリラを勝ち抜く戦術家のチェと、大局を見据えながら共産党とも共闘する戦略家の同志・カストロ。方や39歳で死に、方や現在80歳を越えてもまだ生存中で国家の中枢にる。戦いを終え、夢の覚めたチェの現実というのが後編なのだろうか。

言葉としては同じ「革命」ながら、陰惨な革命ゴッコで終わった『連合赤軍 あさま山荘への道程』を、つい、思い浮かべたりもしていた。民衆の望む正義によってしか革命は成立しないのだろう。

(評価:★4)

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