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[コメント] 少年(1969/日)

子供は親を選べない。051103
しど

擬似家族であれどそれは大人側の事情であって、子供からすれば唯一の家族には変わりないし、奇妙な仕事も立派な仕事なのである。

従順に大人の事情を身に着けるうちに、だんだん、その時の「親」と同じに育ってしまう。そして、その子供が親になった時、同じ理不尽を子に強いることで、延々と不幸の連鎖が続くんだろう。しかし、常識からすると「理不尽」だけど、当の本人達にしてみれば選べない親から受け継いだ「習慣」に過ぎず、この作品の中の両親が時に見せる愛情は、彼らが異常なのではないことを示している。

大島作品ということで、ちょっと警戒して見たんだけど、結構、普通のドラマ作品だった。情緒的な映像が物語と調和していて、言いようのない物悲しさを味わえる。会社や社会、国家が人々に強いる理不尽も、案外、強いる方は無邪気のつもりかもしれないね。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)sawa:38[*]

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