「ゲド」は宮崎ハヤオ監督作品のインスピレーションソースなわけで、 画風やモチーフが父親と似てしまうのは仕方ない。

でもこの作品は監督のオリジナリティが皆無であるだけでなく、 既存のあらゆるメディアに影響されたとしかいいようのない「脳内妄想」の集大成だ。

例に挙げるとキリがないが、ゲドとテナーとアレンとテルーが同じテーブルを囲んで食事をするシーンなど見ていられなかった。 原作にそんなシークエンスはないし、崇高な関係であるゲドとテナーが安っぽい昼メロの主人公達のようだった。暗い目をしたアレンとテルーはエヴァンゲリオンのシンジ君が綾波レイを欲しているような薄汚い雰囲気だ。彼らには原作で持っていた信念も威厳もなく、ただ走りまわっているだけだった。

陳腐なセリフは感情や状況を全て説明してしまい、想像力を完全に無視している。 家に戻った登場人物が他のものの名を呼び「どこにいったのかしら？」というセリフを２回以上聞いた。これは本当に必要なセリフなのか？

最高のスタッフの最高の声優を使い、できたものがコレか？ 才能とは必ずしも遺伝しないのだと証明されてしまった。