この物語は３度、車と車がぶつかる。

冒頭、中盤、ラスト。

なんで、こんなに車がぶつかるのかと初見の時思ったが、 （単純に交通事故でも多い場所なのかな？　と思ってしまった（笑）） ２度見てよく考えたら、なんてことはない、〈衝突〉のメタファーを 表していたわけだ。

すべての人が繋がっているという点では、『マグノリア』や『運命じゃない人』にも 通じるが、エピソードに出て来る人たちには、必ずパートナーが用意されている点は かなり独特だ。それが物語をピンと張り詰めさせているのだろう。

・黒人刑事ープエルトリコ系女刑事

・ペルシャ人の父ー娘

・黒人青年AーB

・白人検事（夫）ー妻

・人種差別主義の白人警察官ー新米白人警察官

・黒人演出家（夫）ー妻

・黒人（？）のカギ職人（父）ー娘

・中国人の男ー女

パートナーとの関係を表しつつ、対立構造と貧富と家族の問題を描いていく。

さらにアフリカ人の女性看護師（？）、日本人の保険屋、カンボジア（叉はタイ）から 人身売買されてきた子供や青年が加わる。あらゆる人種がこの世の中で 生活しているという事実。違った価値観を持って。

簡単なラフスケッチのようでいて、全てのエピソードに意味がある。

対立していた者たちには和解が用意され、リベラルな人間の偽善を暴き出す。

黒人青年は言う。「人間って面白いよな」