無国籍の街・新宿を舞台にヤクザと中国人マフィアに追われる羽目になったブラジル人と中国人のカップルを描いた作品。で、ストーリーはこのまま。驚くような展開や裏切りもなく、ただ銃を撃ち合って何人か死んでおしまい。目新しいのはほとんど無名の役者を揃えたところ。原作の雰囲気を生かすためであろう、ネイティブの外国人を多数使っており、見慣れた東京の風景との違和感がよく出ている。その点は同じ原作者の『不夜城』よりも良くできていたかもしれない。全般的に見どころは少ない。この監督はハードな映画ほど随所に笑いを入れようとするが、あまり笑えなかった。原作の雰囲気と合わないからだろうけれど、埼玉を大砂漠にするのは頂けないし、ニワトリでマトリックスをするのも今ひとつ。役者陣ではミッチーこと及川光博が期待されたが、本来の持ち味を生かし切れていない感じは否めない。吉川晃司もよくやっているものの年齢から考えれば、という程度。それぞれのファンも今ひとつ乗り切れないのではないかと感じられた。