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[コメント] 式日(2000/日)

エヴァ』でいいじゃん!
FRAGILE

 不思議系少女「彼女」と人生に疲れを感じている中年男「カントク」の心の交流を描いた作品。

 この作品の唯一にして最大の欠点は「彼女」役の藤谷文子に不思議系としての魅力が足りず、アブない女にしか見えないこと。個人的な好みは否定しないが、この大して珍しくもない題材の作品が成立するには中年男が思わず惹かれるだけの少女の魅力が分かりやすく表現されていなければならない。例えば見るからに線が細く守ってあげたいようなタイプであるとか、性的な魅力に溢れているが実は繊細な心の持ち主であるとか。こうした表現に欠けるため、なぜ「カントク」が「彼女」と暮らし始めるのかはっきりせず、感情移入しにくいものになってしまっている。

 その結果、二人がお互いを撮影するビデオ映像は気恥ずかしいプライベートビデオにしか見えず、クライマックスにかけての感情的な盛り上がりも醒めた目でしか見られず、思わず退いてしまう。

 映画監督岩井俊二の演技、シネスコサイズで撮影された宇部の風景は確かに見どころであるものの上記の欠点を埋めるまでには至っていない。

 以上より、テーマである少女の心の闇、家族や他人との関係などは同監督の『新世紀エヴァンゲリオン』の方がまだ鮮明に描かれており、このテーマの作品を見たければ、『エヴァ』で充分と言える。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)TOMIMORI[*]

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