[コメント] リトル・ダンサー(2000/英)
少年版「昴」かと思うと期待はずれ
イギリスの田舎町の少年がバレエの面白さに目覚め、プロを目指そうとする作品。
単純なスポーツ(じゃないけれど)根性ものではなく、炭坑の労働争議、家族問題といったものを織り交ぜて少年をサポートする周りの人々の姿が感動的に描かれている。
実はイギリスにまだ敢然とある階級意識のようなものがベースになっていると思われる部分もあるのだが、どうしても日本人にとっては感覚的にわかりにくい部分がある。ただ、上記のようなある意味分かりやすい問題を前面に出しているので抵抗なく観ることができる。
題材をバレエにしたことで男性文化からの無理解は当然のものだし、家族の設定も母親が一年前に亡くなっており、祖母は少々ぼけ気味、父と兄は炭坑の労働争議でストライキ中、とどこを切り取っても泣かせるエピソードにできる卑怯なつくり。もうストーリーの背景だけで泣かせるスイッチを入れてしまうような設定の勝利といえる。気持ちを許して泣きたい向きにはお勧め。
本当は少年のバレエ映画と言うことでバレエの奥深さを魅せてくれるかと期待したが、残念ながらそうした描写は少なく、少年はあっという間に上達してしまう。まあ、バレエがその他の設定を浮きだたせる道具であれば致し方ないところか。
それでも少年の少年たる魅力というものはそれほど長く続くものではないので、その一瞬がフィルムに収められていることだけで価値があると考える。
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