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[コメント] 怪獣ゴルゴ(1961/英)

ミニチュア特撮はともかく着ぐるみ怪獣は日本だけのものか? いや、同じく島国のイギリスがこんな映画をこしらえていたのだ、と思うと実に興味深い作品。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 日本では日活唯一の怪獣映画『大巨獣ガッパ』の元ネタとして一応ファンの間には知られているが、観たという人は少ない。ビデオ発売は過去に一度だけで再販もされない状態だったのだから無理もないか。しかしつい最近になって海外でめでたくDVD化され、しかも日本のファンには嬉しいリージョンフリー! 元となるフィルムが相当痛んでいるらしく(おそらくオリジナルネガの所在が不明なのだろう)、DVDとしては画質も悪いがこれでもましな方らしい。観られるだけでも感謝しなければなるまい。

 まあそれはそれとして……オスカー獲得経験のあるトム・ハワードが手掛けた特撮は、当時の円谷にも負けんばかりの出来栄えに仕上がっている。親ゴルゴがロンドンブリッジを、ビッグベンをも破壊!ランドマークだけでなく、ロンドン市街のミニチュアも実に精巧に出来ている。瓦礫を逃げるエキストラに気合の入った合成で降り注がせたり、そのエキストラの数が半端じゃなかったりと、何ともツボを心得た場面には思わずワクワクしてしまった。ガッパと同じく、いかがわしいミサイル兵器も出てきたしなぁ(笑)。さらに特筆すべきは子ゴルゴ(少々言いづらいな)がらみの特撮で、孤島の港に迫るゴルゴ、に対してたいまつを投げまくって追い払おうとする島の人達、という大胆極まりない合成は凄い。トレーラーに乗せられてロンドン市内を移動する子ゴルゴというビジュアルも面白いぞ(これは合成ではなく実物大をこしらえたもの)。音楽も燃えます。

 ガッパの元ネタとしてだけ紹介するには勿体無さ過ぎるほどの一本。全編英語で字幕無しではあるけれど、当時の予告編とドキュメンタリー風の映像が特典として封入されている。価格は4000〜5000円程度。輸入ビデオ・DVD屋に置いてあったら買って損は無い!

<追記>

 2005年7月、ついに待望のDVD国内リリースが決定しました。デジタルリマスターとあるので、画質に期待しましょう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)kiona kawa

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