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[コメント] アトミック・カフェ(1982/米)

5、60年前のアメリカ人の言い訳が聴こえてきそうだ。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 「……しょうがないだろう。太平洋戦争を早く終わらせるには、諦めずに抵抗する日本を完膚なきまでに叩きのめす必要があったんだ。だから2発落っことした。3発目も考えてたけど、その前に日本が降伏したから無しになりました。後でその被害を徹底調査してみたら、やはり半端じゃない。だから、もしもこの後アメリカを脅かすような戦争が起きたとしても、もう怖いものは無いと思わないか? そんなのは敵国に原爆をちらつかすだけで十分でしょ……

 と思ったらさ、共産主義のソ連が核兵器を作ったっていうじゃないの! 嘘かと思ったけど本当なんだ。まさか独力で作れるわけが無いと思って、アメリカ国中大捜査しまくったわけよ。そしたらいたのよ、核兵器の開発者にアカと密通してた奴が。当然死刑ですよ。だって裏切り者だよ。自由資本主義と相反するような思想の奴等に、わが国の手の内をバラすだなんてヒドいじゃないか!

 しかし向こうが作ったのならこちらも負けちゃいられないと思って、今度は原爆以上の威力を持つ“水爆”をこしらえたんだ。実験するのはビキニ環礁っていう南の島だけど、ウチらの領土内だから何の問題も無い。現地の人達にも協力してもらって、見事に実験大成功。何、日本の漁船が被爆したって? だったら被爆した魚を市場に出回らせなければいいのさ。

 もちろんこれだけの兵器を持ってるわけだから、国民に対する理解も必要だと思っていろいろ広報したわけよ。万が一を考えて、逆に攻撃された時の対応とかね。とにかく“光ったら隠れろ”って教えておきました。核対応グッズもあるし、庭に核シェルターを作って個人レベルで備えてる人もいるし、もう万全ですよ。放射能で毛が抜けても平気、ヅラで隠せば問題ナシ! そう、問題ない、問題なんか全然ないから……」

 こんな風にやり続けて60年、本当のことを教えてこなかったツケが出てますね……。

(評価:★3)

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