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[あらすじ] エルミタージュ幻想(2002/露=日=独)

ロシア・サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館の中を、キュスティーヌ伯爵(セルゲイ・ドレイデン)と名乗る人物が歩いている。それを画面の外から、映画監督の声(アレクサンドル・ソクーロフ)が追う。彼らが言葉を交わしながら歩くうち、過去と現在は入りまじり、かつてロマノフ王朝の宮殿であったエルミタージュで起こった数々の出来事を、2人は夢とも現実ともつかないままに体験する。エルミタージュというこの巨大な方舟の中で、ピョートル大帝やエカテリーナ2世、ニコライ2世など実在の人物、そして虚構の人物と共に繰り広げられる、ロシア史の幻想の旅。[96分/カラー/アメリカンヴィスタ]
Yasu

本作は、オープニングとエンディングのクレジット画面以外、本編の90分はワンカットで撮影されている。

一般的なフィルムキャメラは、マガジンに装填できるフィルムの分量は最大12分程度のため、それ以上の長さのショットを撮影することは物理的に不可能。しかしアレクサンドル・ソクーロフ監督は、ハイビジョンキャメラを使ったデジタル撮影という手法をとることで、映画史上初めて、90分間を1つのショットに収めることに成功した。

撮影は2001年12月23日の夕方、867人の俳優(世界的指揮者のワレリー・ゲルギエフも特別出演している)と数百人のエキストラを22人の助監督が取り仕切る中、サンクトペテルブルグのエルミタージュ美術館で行われた。照明の関係で、4時間以内に完了しなくてはいけないという制約があったものの、撮影はこの日だけで無事成功した。撮影のティルマン・ビュットナーは、エルミタージュの中を90分間休みなしにキャメラを担いで1300mも移動し続けるため、この日のために半年以上も体力トレーニングを積んできたという。

舞台となったエルミタージュ美術館は、エカテリーナ2世のコレクションを収蔵する美術館としてスタートし、現在は所蔵する美術品の数300万点を誇る。世界三大美術館の一つにも数えられる上、建物自体も世界遺産に指定されている。

なお登場人物のキュスティーヌ伯爵は実在の人物で、18世紀のフランスで外交官であった。文筆家としても知られていた。

(評価:★3)

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