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[あらすじ] 仁義なき戦い(1973/日)

戦後広島県下で起きた熾烈なヤクザ抗争を描く東映実録路線第一弾。作家飯干晃一の原作を脚本笠原和夫が取材し直し群像劇として纏め上げた。全5作シリーズの1作目となる今作は、25年におよぶ広島抗争の序章となった、呉を舞台にしたヤクザ間抗争が描かれる。99分
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**ネタバレ注意**
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※※※※結末まで書いてある※※※※東映三カクマーク>>ドーーンという地響きのような音ともに、原爆のきのこ雲のスチールが大写しになる。一瞬の後、>>「チャララーン」有名なテーマ曲の開始と同時に、画面一杯にタイトル「仁義なき戦い」の文字が。書きなぐったような真っ赤な文字。スタッフ、キャストと順に紹介される背景では、敗戦後の日本を撮った白黒写真が次々。最後に「監督 深作欣二」の文字が出、消えると背景の闇市に色がつき始め、人々が動き出す。ナレーションは小池朝雄氏>>(字幕)「昭和二十一年呉市」(声:画面外)「敗戦後既に1年、戦争という大きな暴力こそ消え去ったが、秩序を失った国土には新しい暴力が渦巻き、人々がその無法に立ち向かうには、自らの力に頼るしかなかった」◆◆◆闇市の喧嘩で旅人を射殺した復員兵・広能昌三(菅原文太)は、12年の刑期をくらい服役中、土居組若衆・若杉寛(梅宮辰夫)と知り合い、兄弟分の契りを結ぶ。腹を切って偽装自殺を図り先に出所した若杉の手配で、土建業・山守組の山守義雄(金子信雄)が保釈金五万円を立て替えてくれたため、3ヶ月後に釈放。一団の若者らとともに、任侠団体として正式に旗揚げした山守組の組員となった◆昭和24年、長老・大久保憲一親分(内田朝雄)の巧妙な画策により、山守組は密かに土居組の反目に回る。土居の裏をかく行為に批難の声もあったが、日の出の勢いにあった土居組が、これ以上強大になるのを危惧する思いは、山守も共有していたのだ。山守組若頭・坂井鉄也(松方弘樹)が土居派の呉市会議員・金丸を拉致、監禁。旧海軍退蔵物資の独占を狙う土居の目論みは阻止された◆このからくりを後で知った土居組組長・土居清(名和宏)は激怒。子分の若杉の造反もあって山守の命こそ殺らなかったが、以後、公然と山守組のシマを荒らし始め、山守組は困窮してしまう。坂井が逃亡中で不在の為、土居に造反した若杉が若頭格で収まっていたが、復讐の殴り込みの掛け声に応じる子分はいない。見兼ねた広能が鉄砲玉を買って出ると、山守は泣いて喜び「こんな(=お前)が出所したら、ワシの全財産をやるけん」と言って、手提げ金庫から有り金すべてを掴むと広能に渡すのだった◆襲撃自体は失敗、広能は服役するが、後に土居が死亡。坂井も戻り、呉は山守組の天下となった。山守組に居場所のなくなった若杉は、裏切り者の神原精一(川地民夫)を殺ってケジメをつけると、自らは逃亡を計画。だが逃亡前夜、何者かの密告により隠れ家を警察に踏み込まれる。若杉は警官二人を射殺、本人も警官に撃ち殺され、凄絶な生涯を閉じた◆昭和25年、朝鮮戦争勃発。好景気に沸く呉市で、土居組の主要勢力を一掃した山守組は隆盛を極めた◆だが、特定の子分の勢力拡大を嫌った親分・山守は、子分同士を争そわせる。若頭・坂井が、新開宗市(三上真一郎)の弟分・有田俊雄(渡瀬恒彦)を、組禁令のヒロポン(覚醒剤)を扱った角で所払いに。これを不服とした有田は、旧土居派の市会議員・金丸と結びつき、まず坂井派の山方(高宮敬二)を射殺。次いで、坂井の右腕となっていた上田組組長・上田透(伊吹吾郎)の散髪中を襲い、銃殺。これなどは山守の導きがなければ出来なかった◆坂井派の巻き返しは激しく、新開を刺殺、有田を追い詰めると、あっという間に新開一派を壊滅させ、事実上、山守組を掌握。坂井の勢いは親分である山守をも凌ぎ、山守は窮地に立つ◆講和条約の恩赦で仮出所の早まった広能を、岐阜刑務所まで山守が迎えに来た。だが山守の狙いは坂井の暗殺を広能にそそのかす事だった。広能の身分を保証し、坂井の非道ぶりを散々あげつらうと、そそくさと宴席を発った。むろん、「全財産を譲る」約束が果たされる事はなかった◆広能が、復員兵時代からの友人だった山方を弔うつもりで情婦宅を尋ねると、バッタリ坂井と出会う。広能には坂井を殺るつもりはなかったが、自分を殺しに来たと勘違いした坂井は、パニックに陥る。広能は、親分を中心に組を立て直そうと坂井を説く◆だが坂井は、広能に自分の殺害を命じた山守が許せず、ついに己の親分を脅して渡世の道から引退させた◆しかし呉市競艇組合理事長の身分に収まった山守は、坂井の下で坂井組発足に力を貸していたはずの槙原政吉(田中邦衛)と組み、坂井失脚を虎視眈々と狙っていた。慢心か油断か、ついに坂井が山守配下の者の手にかけられる日が来た・・・◆坂井の死により自動的に山守が復活。山守の指揮で”若頭”坂井の盛大な葬儀が催された。もとより広能が招かれるはずはなかったが、周囲の視線を撥ね退け、会場に入ってきた広能は、つかつかと祭壇まで進み出ると、坂井の遺影に話しかける。と、懐から拳銃を取り出すや、遺影を撃ち抜いた。銃声に周囲が騒然とする中、無言で位牌や灯篭を撃ち続ける広能。おののいて誰も声を発せない中、山守だけが声を震わせながらも「広能。覚悟の上でのことだろうな」と詰問する。だが広能は、山守の虚勢を見透かすように、冷たくこう言い放つ。「山守さん、まだ弾は残っとるがよ」 さすがにひるむ山守を尻目に、祭壇を後にする広能だった・・・。<完>

(評価:★4)

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このあらすじを気に入った人達 (1 人)たかやまひろふみ

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