[あらすじ] 浪人街(第1話〜第3話)(1928/日)
*第三話(29)憑かれた人々 15巻(約120分)無声 登場人物:小日向惣左衛門(沢村国太郎)、隅田八十右衛門(荒木忍)、おとわ(マキノ智子)、若宮玄八郎(河津清三郎)、お縫(浦路輝子)
現存するのは(2020年現在)第一話のラスト8分と第二話の短縮版73分のみ。そのフィルムと書籍「山上伊太郎のシナリオ」(’76年刊 白川書院、第一話収録)に基づき、あらすじを記す。
[第一話] 母衣〈ほろ〉権兵衛、赤牛弥五右衛門〈やごえもん〉、荒木源内は浪人街の居酒屋での飲み仲間。各々用心棒等で日銭を稼ぐが、源内だけは巾着切り(スリ)のお新のヒモだ。もう1人土居孫左(まござ)衛門という浪人。れっきとした作州藩士だが、訳あって妹との長屋住まい。話はこの妹おぶんから始まる。生活の為、おぶんは`辻占い売り’をしていたが、ある日好色な旗本小幡伝太夫に絡まれる。―顔を見せろ、可愛いではないか、と詰め寄られ、逃げようとして倒れると、足蹴りにされた。侍の娘で有りながらの恥辱に涙を隠して帰宅したが、どこぞの男とでも何かあったのかと誤解した兄と口論になってしまう。互いに譲らず、家を出るおぶん。行く当てなく、水茶屋で働くことを決心する。しかし、間の悪いことに、あの小幡が客として現れる。―おやっ、あの辻占売りか、こっちへ来い。―辻占売りはすれど、私は侍の娘です。―何を生意気な。と引きずり出そうとする。その時「余り無体な事も・・・」と割って入ったのは、初老のお新の親分。が、町人の分際で―と小幡は刀に手を掛け、切って捨てる。その親分の葬式。一の子分の金五郎が、お新に囁く「跡目は俺だ。あんな浪人は捨てて俺と一緒になろうぜ」しかし、手痛く断られる。雨の夜、彼はお新と源内を襲う。がそこは侍。金五郎の顔に刃が。―殺さないで、とお新が止める。そして逆恨みの金五郎が考えたのは、旗本小幡を味方につけるべく、命を狙っている浪人がおります、と告げる事だった。町中を闊歩する金五郎たちと小幡一党。「いましたぜ。あいつだ」と金五郎が指さしたのは、源内、お新と赤牛だった。3人を取り囲んだ小幡派から「俺がやろう」と出て来たのは、実力者弟の小幡七郎右衛門だった。俺の出番か、腕に覚えのある赤牛が一歩前へ出る。2人の対決。他の一党は、逃げ出した源内とお新を追う。対決は、実力伯仲で、勝負がつかず。「お主、出来るな」「いや、そちらこそ」。変に意気投合した2人は、居酒屋へ[おいおい]。七郎「よし、赤牛殿。俺の所へ来い。50石出そう」。酔った2人が小幡屋敷へ戻ると、源内は逃げたが、お新が捕まっていた。更におぶんが敵の手に落ちる挿話があり、小幡屋敷。さて、どうする?七郎が案を出す―子恋(こごい)の森で、牛裂きにしよう。―牛裂き?牛裂きの刑か。それは一興じゃ。その騒ぎで源内が・・・来るかな?そこで、赤牛「おぶんを逃がそう。そうすりゃあ、間違いなく源内は来る」成程!
(ここからラスト8分が始まります) 町を走る、走るおぶん。源内に会う。伝える。源内が走る。そしておぶんは、母衣、兄孫左に会う。母衣は馬を調達して駆ける。森では源内が孤軍奮闘。が、危ない。そこへ母衣「助太刀、一番乗り!」。木陰で見ているのは赤牛、「つらいなぁ。友を取るか、50石を取るか」。そこへ孫左がくる。「もう駄目だー、俺が3番乗りだー」と赤牛乱入。「おのれ裏切ったな」「馬鹿っ、表返ったのぢゃわっ」[ここで観客大喝采]と、赤牛は小幡兄弟をにらみつけるが・・・。さて怒涛の結末や如何に?
[第二話] 三年前、旗本の三浦屋敷から銘剣をかっさらって逃げた倉橋重兵衛は、江戸に舞い戻り、夜を待って浪人街の父と姉の侘び住まいを裏口から訪ねた。姉のお紋が居た。―あいつら、諦めたか?―まだ、だめよ。逃げておくれ。三浦の用心棒で、家を見張っていた不破伝五左衛門<でんござえもん>が気付き、三浦に知らせに走る。しばらくして立ち去った重兵衛を見送ったお紋は、男とぶつかりそうになる。白河三十郎だった。その顔を見た時、お紋の心がざわついた。三浦一党が駆けつけて来る。当然重兵衛はいない。お紋を問い詰める。知らぬ―、存ぜぬ―。重兵衛はお吉の家に転がり込んでいた。情夫だ。そのお吉にホノ字なのが三十郎だった。重兵衛は何処にいるのだ?―お紋への折檻は続く。町中の人が集まって来る。三十郎もいた。「何をやっているんだ?」と家に入る。「おっ、伝五左ではないか。三浦の用心棒か?お前も落ちたなあ」。下を向く伝五左。三浦が怒る―切ってしまえ。伝五左動かず。他の用心棒たちが外へ出、切り掛かる。があっさり、刀を落とされる。腕が違う。伝五左の登場。静かに向かい合う二人、・・・月が見ている。お吉は重兵衛に惚れており、そのお吉を三十郎が。その三十郎にお紋が。浪人街の愛憎の人生劇の行方は何処へ?
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