[あらすじ] にっぽん泥棒物語(1965/日)
物語は終戦後間もない昭和二十三年、福島県のある農村からはじまる。とき正に泥棒天国。殺人的インフレで貨幣価値は失墜、米と着物が天下を獲った時代であった。この物語の主人公、林田義助(三國)は蔵破りの達人。歯科医となる夢を戦争に奪われ老母(千石)と妹(緑)を養うために「その道」に入ったのであったが今や前科三犯の筋金入りである。義助は同業者の仁義から四度目の別荘生活に入るがここで知り合った馬場青年(江原)とコンビ結成を約し、警察の注視が労組に集中していると思しき「杉川駅」に向かう。昭和二十四年八月の頃であった。 独立プロの山本薩夫が『飢餓海峡』の三國連太郎、仲沢半次郎らと組み東映で撮った社会派喜劇。 <約115分/白黒/スコープ>
泥棒が松川事件を目撃するというプロットについて、フィクションにしてもあまりにふざけが過ぎている、なんて云ってはいけない。昭和二十四年八月十六日(事件前日)の未明、松川付近で実際に破蔵事件が起き、一体に警戒警報が発令されたという事実があるのだ。ただし本作がフィクションであることには変わりない。
昭和三十六年八月に仙台高裁差し戻し裁判で出た全員無罪判決、三十八年に最高裁による検察側の上告棄却を受け制作されているため、同監督が寄付金義援金によって三十六年二月に発表した『松川事件』よりもぐっと肩の力の抜けた娯楽作品となっている。
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