世にもお下劣な戦いに挑む選手紹介

チャンピオン側にまずディバイン（♂）。１５０キロ巨漢の元祖ドラッグクイーン、手術してません。頭のテッペンまで剃った黄色いロングモヒカンの変態カット。その仲間達は、ベビーベットの中にブラとガーター姿で巣食うこれまた巨漢１１０キロの卵大好き白痴ママエディス・マッセイ、息子ダニー・ミルズ、同居人の美女メアリー・ビビアン・ピアース。

この強烈な面子に挑戦するのがパンクが世に出る前に上下の毛を赤と青に染めたミンク・ストールとデビッド・ロチャリーのマーブル夫妻にスバイのクッキー・ミュラー、執事のチャニング・ウィルロイ。

制作秘話

超低予算の為スタッフは平日に資金集めに奔走して週末だけの撮影だったので撮影期間に半年かかった。出演者は同じ髪型で半年過ごし、ディバインは食事以外外出しなかったのだが、それでもたまに街に出るとちゃんと二回の万引きで保護観察を受けるというから凄い。本物だ。真冬での撮影の為出演者はマリファナとアルコールで体を温め、白い息が思いっきり画面に写っています。制作予算１万２千ドルで、７００万ドルの大ヒット（当時）。監督曰く「アメリカ中流家庭に普遍的な“虚栄心と競争心”の寓話」らしい。ディバインのアドリブによる映画史上空前の衝撃ラストが待っている。「衝撃のラストが待っている」と知っていて観てもラストの本物の映像には衝撃を受けるだろう。ラストのディバインの挑戦状を受け取ってください。ピンクフラミンゴとは冒頭に登場する中流階級を象徴する芝生飾りで、悪趣味のシンボルとした。

変態達のその後

これで世に出たディバインはその後、オフブロードウェイで舞台のプロデュースを手がけたり、８０年代ディスコミュージックのヒット曲を飛ばしたり、男女問わずファンを食い散らかしたりと世の中で暴れまわるが１９８８年心臓発作で死亡。１９０キロまでに太った体が原因。ボルチモアの墓には今でも世界中のファンから花束が耐えない。エディス・マッセイは糖尿病、クッキー・ミュラーはエイズ、デビッド・ロチャリーはエンジェル・ダスト服用により死亡。１０代からジョン・ウォーターズと共に映画を作り続けて来た仲間、ドリームライダースの主要メンバーの多くはこの世にいない。ジョン・ウォーターズはカンヌで審査員をやっちゃったりしている。

お下劣、悪趣味、そして変態達が集まった

ボルチモアの裕福な家庭に育ったジョンウォーターズはゲイであり、悪趣味な彼はボルチチアの保守的な中流思想に馴染めなかった。高校時代に知り合ったディバイン達と映画を作り始め、この映画ではボルチモアの変態達を集め世の中の価値観に喧嘩を売った。皮肉にもボルチモアは変態パーティーの会場として世に知れわたる。

反響、評判

ジョン・ウォーターズは動物愛護団体の苦情に「私達はちゃんとニワトリを食べました。皆さんが殺して食べるのと同じように」と答えたり、ジョン・ウォーターズの『ヘアスプレー』に感動して本作のビデオを借りた家族に訴えられたりと、ほほえましいエピソードが付いている。この映画にゲロを吐く事は監督曰く「スタンディングオペレーションと同じ価値がある」との事。善良で常識的で良識者の皆さん、遠慮なくゲロを吐きましょう。この映画を持ち込まれた映画会社ニューラインシネマはこの映画の扱い方がわからず一年間放置した後、こっそりとニューヨークのカルト映画館エルジン・シアターで深夜公開したところ大反響でまたたくまに全国公開となったのである。倒産寸前だった同社はこの大ヒットにより持ち直した。一年間レビューを拒否していたバラエティ紙は「まちがいなくこれまでに作られた最も下劣で、馬鹿げており、忌まわしい映画」と評し、インタビュー紙は「映画史上最も気分が悪くなる映画。そして最も面白い映画の一つ」と評し、アンディーウォーホールに「私が作る意味が無くなった」言わしめた。ニューヨーク近代美術館ＭＯＭＡに「建国２００年祭・アメリカ喜劇映画２００周年記念」の一本として永久保存されている。

Ｒ−１８指定だが、この映画ばかりはＲ−１８だろうが何だろうがどんどん指定して構わないだろう。一生に一度は見て置きたいが、人生見ないで済むならそれで良い気もするのでお勧めしません。但しダイエット中の方には自信を持って推薦。決して家族や恋人と見ないで下さい。善良で良識的で多数派の意見が好きなムカツク人間がいたら勧めて見せちゃいましょう。