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[あらすじ] 大怪獣ガメラ(1965/日)

北極に某国の水爆輸送機が墜落し、そのエネルギーでイヌイットの伝説の怪獣・ガメラが復活を遂げた。獰猛な性格と思われていたが、なんとガメラは灯台から落ちそうになった少年を、自らの手で受けとめ救ったのだ。ガメラは悪い奴じゃないんだ、という少年の思いも空しく、ガメラはエネルギーを求めて暴れ始める。空飛ぶ円盤のごとく飛行も可能なこの怪獣に、人類は全ての科学を結集させた「Zプラン」を試みる……。
荒馬大介

 昭和38年頃、大映では「大郡獣ネズラ」なる映画が企画されたことがある。特殊な宇宙食を摂取したネズミが巨大化し、東京に大群となって押し寄せる……というパニック要素も入った怪獣映画で、本物のネズミを使用した撮影も始まった。ところがそのネズミが思わぬトラブルを産む。強烈な撮影用ライトを浴びせられ続けたネズミが倒れたり、そのネズミからダニが発生して近隣住民から文句が出るという困難が続き、結局この「ネズラ」は撮影無期延期が決定する。現在では宣伝用のスチール写真くらいでしかその存在を確認できない幻の映画となった。

 そしてその2年後、大映は「ガメラ」で初の本格怪獣映画に挑むことになった……のは良かったのだが、製作費は大作と呼べるほどのものではなかったという。今まで怪獣映画は東宝の独壇場で、特撮パートを大々的に売りにした映画自体を作った経験が少なく、興行的にも未知数だったため予算が抑えられてしまったのだ。そこで予算節約案として、照明代のかかるカラーフィルムではなくモノクロフィルムを使用。当時の怪獣映画でモノクロは珍しかったが、これが独特の雰囲気を出す結果となった。

 さらに怪獣映画を観に来る客層を狙って、ストーリーに子供を絡ませるという要素を盛り込んだ。またガメラの性格も、本作では街を破壊するという凶暴さを見せつつも、灯台から落ちそうになった少年を助ける、という子供に対する温和な面もあることを描き、よりガメラに親しみを感じやすくする設定にしたのが特徴である。とはいえ本作では暴れまわっているシーンの方が多いが、後のシリーズではこの「子供に優しい」という設定が大きく化けることとなる。

 そして昭和40年秋に公開された本作は好評を持って迎えられ、海外にも高く売れたという。予想以上の成績を収めた本作に大映は驚いたが、「実は一番驚いてたのは東宝さんなんですよ」とは湯浅憲明監督の言葉である。

(評価:★4)

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