[コメント] 12人の優しい日本人(1991/日)
揃えられたステロタイプの日本人らしき看板達が、興じる陪審員ごっこ。オリジナルはアメリカ人とは?と考えさせられたけど、これはそこまで奥が深くないなぁ。
矢継ぎ早に繰り出されるネタ・表現は、観客との共通幻想に頼った、日本人像であり言動なわけで、まさに観客との共犯関係によって物語が成立している舞台が原作だよなぁと思った。そういう意味じゃ、登場人物は全員、映画の中の世界で人生を持っているわけではなく、全員記号。
あと、気になったこと。相島一之演じる、陪審員6号が、最初から有罪を主張し続ける理由が語られる、ラストの彼の告白によって、オリジナル版と同じカタルシスを味わうようになっているけれど、オリジナルの方は、非合理的な人物の言動の起因が明らかになったから観客は納得したし感動したわけで。こっちはどう考えても、彼(陪審員6号)は前半から、一見論理的でありながら自論に没するあまり自説に取りつかれるステロタイプな日本人として描かれているのだから、いきなり彼の自説がトラウマに起因するものであったと開示されても違和感が付きまとう。結局、オリジナルの脚本に強引に沿ったように感じられるんだよな。
[2002.02.04]
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。