[コメント] 蛇イチゴ(2002/日)
二十代(同世代)監督が描く家族の肖像。(レビューはラストに言及)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ずるずるべちゃべちゃ物をかみしだく祖父の不快音、そんな祖父と向かい合わざるをえなかった母に忍び寄る円形のハゲ。ホームドラマこそが最高のホラーだという視点は面白かった。そういえば、「渡る世間は“鬼”ばかり」なんてタイトルもホームドラマの中に潜むホラー的要素に自覚的である証拠だろうか(そんなわけないか)。
ただ、父の借金発覚後のなんだかミニコントっぽい父と母のうろたえぶりの演出などに典型的だが、登場人物の安易な扱い方や年上の者に対する敬意の薄さが透けて見え、何よりも作品全体のスケールを小さくしてしまった感がある。
ラストはそれほど嫌いではない。あの蛇イチゴだって、本当に裏山にあったかどうかなんて定かではない。生真面目な妹から見たら兄は最後まで何を考えているのかわからないブラックボックスのようなものなのだろう。醜い現実を描いたうえで、それだけには収まりきらない兄の神秘性のようなものを見せたくだりは映画的だったと思う。ただそうした現実に回収されない「何か」を兄の中にだけではなく、他の登場人物や本作の世界観の中にも見出すことができれば、もっと懐の広い作品になったのではないか。視点の置きどころはさほど悪くないと思った。
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