考えてみたらこれらは大人でも十分に心細くなるような要素だったりするのだが、子どもであるが故にその思いは倍増。このあたりは非常に心憎い。加えて言うならば、「走る」という子どもの特性もよく生かされていたと思う。そうなんだよね。子どもの時は基本的に走ってたけど、心細い時って案外走れず、むしろオドオドしながら歩いてたものだ。

大人の使い方も上手い。最初はこっちがイライラするほど話を聞いてくれなかったりするのだが、途中で出会う親切なおじいちゃんの存在や、家に帰ったとき、怒るのかと思いきや決してそうではなかったりする親の存在など、要所ではホッとするような流れになっていてこちらも救われた気持ちになった。

救われたというと、ラストにも救われた。キアロスタミの映画はいつもラストが素晴らしいと思うのだが、この映画のラストもいい。

ただ、あまりにも事が起こらなすぎてやや疲れるのも確か。そのあたりが評価の分かれ目か。