[コメント] 座頭市牢破り(1967/日)
このシリーズ、黒澤時代劇や東映任侠映画からの影響が多分にあるのだが、盲目というハンディに由来する差別、それをばねにした反骨精神という独自の成分を含んでおり、それが他社作品群にない味になっている。今回山本薩夫に率いられてその味が一層濃い。
とりわけ、非暴力の思想や、農本主義的世界観、弱者の連帯形成など農民層の社会意識がしっかりと描かれており、その結果、どの層にも属していない座頭市の立場がいっそう鮮明になった。これが第1の特長。
第2の特長としては、映像の質感が従来作より抒情味と透明感を増しており、1960年代の大映映画らしい艶を完成させている印象を持った。誇張された色が消え、自然さが出るようになり、空気感の表現力が高まった。夜景や逆光を恐れず多用できるようになった。その結果ロケ撮影がセットの撮影に拮抗、あるいは別の価値を帯びてきた。
この時期の感光材の向上やフィルム基層の製造技術、現像の技術が長足の進歩を遂げていることとが関連していると思われる。微光に耐えられる明るいレンズの開発なども関係しているだろう。もちろん、それら最新の道具や材料を駆使する撮影者の腕の向上は不可欠である。もどかしいがこれ以上の知見がないので、うまく語れないが、カラー映画に関して言えば、映画黄金時代を過ぎた1960年代後半にあってまだ長足の進歩が続いていたように思う。
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