[コメント] 1941(1979/米)
潜水艦、観覧車、移動式砲台、飛行機。装置と空間を駆使して繰り広げられる活劇コメディは、チャップリンやキートンが試みていたひとつの映画的原点へのオマージュに見えた。ハリウッド映画の転換期に現れ、その後の流れを作るに相応しいエポック作品だと思う。
この作品と同時期に観た他のコメディを思い出してみると気づくことがある。ウディ・アレンはハリウッドを毛嫌いするかのようにニューヨークを舞台に『アニー・ホール』(77)や『マンハッタン』(79)、『スターダスト・メモリー』(80)を撮っていた。『プライベート・ベンジャミン』(80)はゴールディ・ホーンというキャラクターに、『ケンタッキー・フライド・ムービー』(77)、『メル・ブルックス 新サイコ』(78)、『ブルース・ブラザース』(80)はテレビ的ギャグにコメディ映画の活路を見い出そうと試みていた。
そんな中、スピルバーグは装置と三次元空間を活かした活劇、すなわちチャプリンやキートンのドタバタ喜劇へと回帰しようとしていたのだ。その流れは、「インディ・ジョーンズ」シリーズへと連なり、現在のハリウッド製アクション映画のほとんどに受け継がれている。作品の出来そのものには様々な評価もあるだろうが、手詰まり感のあったハリウッドに娯楽映画のあるべき方向を示唆した功績は大きい。
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