アンディ・ラウの方がエリート然としていて切れ味鋭いキャラクターなのに、相変わらず不精ヒゲで力の入らない佇まいのトニー・レオンがおいしい役どころのせいもあって断然魅了勝ち。

潜入捜査ものでさらに双方に潜り込んでいるため、ハラハラ度はかなりすごい。 しかし、中盤以降はドンデン返しを盛り込みながらもちょっと消化不良なかんじ。

オープニングで警察学校時代と組織への舎弟入りを見せてはいるが、印象的なエピソードが無く、クライマックスでの使われ方がいまいち。

互いのボスに顔つき合わせてタンカ切らせて、二重の対決軸を期待させておきながらもその後はほったらかし。二人とも好演だっただけにもう少し生き様を掘り下げて欲しかった。

逆に余計だったのがケリー・チャンとの恋愛。ヤマ場を迎えてこれからって時に、 ‘無表情の女王’の「私もあなたの夢を見たわ」は無いだろう！唐突すぎて笑ってしまうほどジャマだった。

二人それぞれに善と悪の道を乗り換えさせる動機付けが弱い。特にアンディ・ラウにその動機が弱く（苦悩する描写も少ないし）、せっかくのシャープな演技が生かされていない。トニー・レオンは舎弟とのやりとり（これが一番泣かせる）と最後の死に様でおいしいところ独り占め。

中盤のスリリングな探り合いは絶妙だったが、タイトルの「無間道」を名乗るには二人の苦悩の重みをもっと伝える必要があると思う。いろいろ文句言っても点数は４。