[コメント] 東京ゴッドファーザーズ(2003/日)
近い将来訪れるであろう3人の別れと、無限の未来に幸あれ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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これは未来についての物語だ。
この家なき3人組は未来に対して硬く目を閉ざし、過去にばかりとらわれていた。帰るべき場所があるのに、「帰る資格がない」と勝手に決め込んで、その日一日を暮らしていた。
そんな3人の前に突如現れた、ひとりの赤ん坊。
彼らが守ろうとしたのは、赤ん坊の命ではなかった。
命を守るためだけなら、警察や病院に届けてしまうことだってできた。
だが、彼らは赤ん坊の未来をも守ろうとした。
めんどくさいことに、未来をも守ろうとした。
それは、彼ら自身がいまだに自分の未来をあきらめていない証拠だった。
そして、赤ん坊の未来を必死に守ろうとすることで、彼らもまた自分たちの過去と向き合い、未来に対して目を見開くことになった。
彼らは未来を見失ってはいたが、決定的に失ってはいなかった。
赤ん坊の未来を守ろうとすることで、彼らは3人とも、自分の未来から許されたのだ。
赤ん坊は何もしていない。何もできるわけがない。
ただこのロクでもない意気地なしの3人に、“無限の未来”を体現して見せただけだ。
未来を見つけたのは彼ら自身だ。未来をつかもうとしたのは彼ら自身だ。
そして最後の最後に彼らを救ったのは、赤ん坊や神ではなく、薄ら寒いコンクリートジャングルの谷間を吹き抜けるビル風──
この街で、それぞれに歩き出す、未来へ。
なんて、びっくりするくらい、いい映画じゃないか。
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