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[コメント] (ハル)(1996/日)

メールの魅力を余すところなく伝えている
TOMIMORI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







村上春樹の蔵書がちょくちょく映るのだが、確かに春樹っぽい文章のメールだなあと思いながら見てた。「ハル」という名前もハルキから取ったと思うし。 ほしがメールをくれなくなってからハルが送ったメールは『ノルウェイの森』のp158の文章をかなり意識しているように思える。 自分は映画を見たり本を読んで気に入った文章があったらすぐにメモしているんだけど、少し引用してみる。

「誰かに手紙を書けるというのはいいものですね。誰かに自分の思いを伝えたい と思い、机の前に座ってペンをとり、こうして文章がかけるということ本当に素敵です。 もちろん、文章にしてみると自分の言いたいことのほんの一部しか表現できないのだけれど、 でもそれでかまいません。誰かに何かを書いてみたいという気持ちになれるだけで今の私には幸せなのです。」

小説の中で主人公が女性に送る手紙の一部なんだけど、手紙やメールの魅力、そして人がなぜそんなものにとりつかれるのかうまく言い表しており、媒体が手紙からメールへと変化しても色褪せない文章だと思う。

村上春樹の原作の映画ってまだ一本も見たことないんだが、 あの世界を映画化したら会話が妙に現実離れしすぎて不自然になると思っていた。 しかしこうして彼の文章を会話にせずにメールのような文章にしてしまうととてもしっくりくるんだね。 森田芳光ってよくわかってるなあと感心した。

最近とくに中国で村上春樹がブームらしいのだが、ハルも中国語を習っていたし、 中国人にこの映画を見せたらきっと喜ぶと思う。

(評価:★4)

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