[コメント] バティニョールおじさん(2002/仏)
一癖も二癖もあるのが人間。中身が空っぽの人間は、それこそお伽話だ。その辺の人間味溢れる描写が見事。また、ナチス占領下のフランスが「これでもか!」という皮肉の元で描かれている。第2次大戦と小市民、コメディは熱く物語りますな
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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リアルな歴史背景を映し出すのは、やはりコメディでしょう。サイレント喜劇を考察してみれば一目瞭然のハズ。決して斬新では無いが、見事な人物描写の畳み掛けで当時のフランスが伝わってきます。
一家の主である親父。娘婿の存在が親父である尊厳を揺れ動かす(失ったわけではない、一つの運命の歯車が動いてしまった)。ただの善意や責任感、または上辺の気持ちでシモン達を救いたいという一心だけが彼を行動させたのではなかった。もちろん越境の旅において彼の心情も変化していったのだが、全ては“良い意味で”自分の為だったのだろう。
「残るべきか、このまま去るべきか」わずか数分(1分程度?)で語られる親父の心境。そして、それを悟った仲介人。そのシーンには心を打たれる。自分の役目を果たすまで本当の家族の元へは帰ることが出来ないのだろう。つまり、ラストでは役目が果たされていなかったということ。
シモンとその従姉妹は両親に会えなかったというが、親父はどうしたのだろうか?思わぬ余韻を抱かせつつ終幕という展開は、もちろん映画的にスゴイ場面であった…。
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