[コメント] キートンのハード・ラック(1921/米)
どアホ級のオチのスケールに救われているSO-SO作品
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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仕事はクビ、挙句に失恋という極限状況に放り出されたキートンの物語の発端は、ストーリーのイントロとして個性的で印象を強くする施しであるのだが、せっかく良いスタートを切った仕掛もギャグアイデアに頼る構成のためか切って貼ったような展開がなんとも拙劣な風合いにして上手くない帰結となっている。自殺願望をもった男の喜劇的な滑稽さに的を絞ってもっと色々なアイデアを見たかったのだが、その単発に終わってしまうギャグのスケッチに、ギャグマンチームによるブレスト的なアイデアを一本の線に束ねることができないという集団ワークの奔放さが裏目に出た結果はなんとも惜しい。しかし、退屈に過ごす映画時間に、ラストのオチのナンセンスっぷりは途方もなく馬鹿げていて、その強度だけでこの映画は保っているといえるほどの一撃である。「地面をぶち抜いて地球の裏側まで行ってしまったバスターは、中国人の妻を娶って帰還する(子もあり)」とてつもないインパクトにして、その荒技たるや喜劇的なものをさらに外側から笑い飛ばす豪快さは口を噤んで唸るより他は無い。これは1919年、グリフィスの名作『散り行く花』のパロディであるに間違いない。というくらいキートンはリチャード・バーセルメスそっくりである。映画をデストロイする豪腕キートンのパンキッシュな魅力に悩まされる作品。
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