[コメント] 四つの恋の物語(1947/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
四話目の、救いのない悲劇で終わられるので映画全体の印象が重苦しい。以下それぞれの挿話の感想を簡単に。
豊田四郎編は、黒澤明の脚本が黒澤らしからぬというか黒澤らしいというか、とても興味深い。そうそう、やっぱり黒澤明って純粋な人なのだ!しかし、恐ろしくポッチャリしている久我美子は全然可愛くない。:-)
成瀬編は打って代わって大人の男女の恋愛と別れを描いていて、濃密な描写がいとよろし。『酔いどれ天使』より前の木暮実千代が匂い立つような色気を見せ圧倒的な存在感。最後のカメラ目線の独白も臭いけど良しとする。ただし、殆どバーとその向かいの木暮実千代のアパートだけでシーン構成されており、成瀬であれば、道を歩くシーンが見たい!と思ってしまって物足りない。
山本嘉次郎編が一番気に入った。これは傑作です。エノケンはそりゃ1930年代の例えば『法界坊』の頃のパワーは無いとは言え、唄も踊りも楽しませてくれる。若山セツコが初々しくてとても可愛いし、飯田蝶子のボケも天下一品。カット割もよく考えられており実に愉快。幸せな気分に浸れます。
ラストの衣笠編は、空中ブランコ中の殺人事件の実地検証という度肝を抜くようなお話で、少々あざとい展開を見事にケレン味のあるカメラワークで手際よくまとめている。浜田百合子が終始仏頂面で彼女を見ているだけで気が滅入ってしまうのだが、エンディングはフェリーニの『道』を思わせる突き放しで悪くない。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。