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[コメント] 死霊のえじき(1985/米)

 ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」三部作の第三作目。コワさは一級品。ゾンビが本当に存在しているような錯覚に陥るよ。
双葉三十郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 第一作目の原題名は『Night of the living dead』。第二作目は『Dawn of the dead』(日本題名は『ゾンビ』)。  そしてこの作品の原題名は『Day of the dead』。

 つまり、night(夜)→dawn(夜明け)→day(昼)と言う具合にゾンビがどんどん増えていく状況を題名で表現している。

 この映画に登場する人間はわずかだが、映画の殆どを彼らの演技で占めている。しかし、この映画が本当にコワいのはその他大勢と化したゾンビの「何の感情も存在しない」演技で、唯一彼らが「感情」を表すのは「人を食う」ところである。

 そこをジョージ・A・ロメロは映画のクライマックスにあてており、「人肉を食べるゾンビ」の行為そのものが極めて自然なように表現している。

 まさに「食物連鎖の崩壊」で、それを描くことで「人間の存在」自体を揺さぶりにかけている。

 ただ単に「人が食われる」というコワさだけでなく「人類というもの、そのものの存在が無に帰する」という怖さが隠されており、凡百のホラー映画とは一線を画する出来ばえとなっている。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)クワドラAS[*]

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