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[コメント] 昭和残侠伝 吼えろ唐獅子(1971/日)

すじ・筋・スジばかり言い立てるスジ張ったお話。でもヤクザ映画いうのは「任侠道」を描ききる映画ではないんですね。だからいいのだとも言えます。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 すじ、筋道、スジを通せと、健さんが何度も言います。そうよ、その通り、それぞ任侠道よと思ってきたし思わされてきたはずですが、本作のストーリー展開においてはえ? 何? この場合の筋ってどうなるのがスジなの?とまったく分からず不安になりました。

 ブンゾウ(松方弘樹)は、自分の惚れた女を親分に手篭めにされ妾にされ、それをも「あね(姐)さん」と立ててきたと言うのに、殴り込みに行かされしくじって死ぬことを期待され、首尾を果たして帰ってきたら旅路に出され、それを女が追いかけてきたので二度と離すものかと思います。普通というか、映画が描きがちな人の世の常だろうと思う訳ですが、これを秀次郎(健さん)は「筋だけは通しておくんなさい」とのたまうのです。

 最終的には指を詰めて親分(黒田=葉山良二)に差し出しました。ヤクザ屋さんの世界では確かにまあそうでしょう。でもこんなもの映画で見せられてもなあ。と言うか親分さんもそんな顔してましたけど。

 結局のところは「辛抱ならねえ!」と殴り込み。「死んで貰うぞ!」と来たもんです。やっぱこれですね。わかっていらっしゃる。

 松方、池部良鶴田浩二高倉健。それぞれ俳優の「格」に合わせたそれ相応の役柄が割り振られていました。そんな脚本こそ、一番スジを通していたかもしれません。

 おみの(ブンゾウの女)役の光川環世さん(新人だそうです)も現代的なスッキリした顔だちの綺麗な女優さんでした。

80/100(22/1/7BS放映)

*)BS12(トゥエルビ)の5夜連続放映を頑張って観ました。うち初見は本作含め2作。まだ全部は観てないけど、僕の中ではやっぱ「血染めの唐獅子」だなあ。火消しの鳶政組のやつ。ドラマの組み立てが綺麗なのと、我慢のスケールがね。本作「吠えろ唐獅子」もそうですが、博徒ものは大抵世界が半径5メートル級なのです。そうじゃないのもありますが。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

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