[コメント] オーメン(1976/米)
キリスト教をちゃんと信仰している人がいちばん楽しめる映画なんだよな
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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「悪魔の子」がこの世に生を受けたらという怖いお話なのだけど、悪魔がいるなら神様もいるわけで、つまりキリスト教をちゃんと信仰している人がいちばん楽しめる映画なんだよな。
たとえば永井豪の漫画「デビルマン」は神や悪魔を科学的に解釈したSFだ。ゆえに作品はキリスト教の「外」に存在し、オレのような無宗教の不信心者にとっても「自分の物語」として受けとることができた。しかし『オーメン』は抜群によくできている一方でキリスト教の「内部」の映画である。だから怖いのは確かに怖いんだけど、自分にはいまひとつ遠い映画だ。
以上がわたくしの尋常の感想なんだけど、別の解釈もある。『オーメン』が、実はキリスト教の外側からキリスト教信者を描いた映画ではないか、という疑惑がオレには拭いきれないのだ。悪魔の子なんてまったく存在せず、乳母はただの勘違いサタニスト、ブーゲンハーゲンも狂信者、神父やカメラマンはただの事故、墓の中身だって何かの間違いで666もただのアザだったとしたら、グレゴリー・ペックは状況証拠だけで赤子を悪魔と信じこんでブッ殺そうとした危ないオヤジということになる。だとすれば、本当に恐ろしいのは悪魔なんかではなく人の心を強力に支配する「信仰」そのものではないのか、という疑惑に『オーメン』は1ミリの余地を残しているとも言える。いやー映画ってホント怖いもんですね。
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