[コメント] ダーティハリー2(1973/米)
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監督テッド・ポスト、第二班監督バディ・ヴァン・ホーン、脚本ジョン・ミリアス/マイケル・チミノ、撮影フランク・スタンレー、音楽ラロ・シフリン。要するにこれは、イーストウッドと仕事をしたことがある、あるいはこれからすることになるスタッフが集まった作品であり、さすがに前作と比べると突出したものに欠けるが、よい具合に肩の力が抜けた活劇となっている。
さて、この映画、いくらなんでも人が死にすぎだよなあとは思うのだが、“MAGNUM FORCE”と題されているにもかかわらず「死に方」において「射殺」ということにこだわらず、爆死であったり全裸でビル落下であったり、ヴァリエーションが豊富なのがとてもよい。特に最高なのは車がフロントガラスから鉄筋に突っ込むところで、このあたりは実に立派なアクション映画。
中盤の射撃大会も面白い。優勝決定戦は実戦形式ゆえデヴィッド・ソールは律儀に身を隠しながら的を撃ち抜くのだが、イーストウッドはそんなことをする素振りも見せない。来るなら来いとばかりに真ん中に躍り出て射撃を行う。イーストウッドの理屈を超えた無敵ぶりが現れていると云えよう。
また、白バイ警官が車を止めさせて組織の大物らを全員射殺する最初の事件のとき、この停車させる場所が微妙な下り坂となっていて、こうした細かいところもよい。ただ、このときの白バイの側部にカメラを据えたローアングル・ショットはちょっと意味不明。
最後にもう一言。「法に守られた悪」や「超法規的な正義はどこまで正義足りえるか」といったテーマはむしろ前作より重く鋭いものでさえあるのだが、ここではヴィジランテたちの悪役加減をうまく按配することでテーマの社会性が希薄化され、軽い娯楽作に仕上がっている。このバランス感覚はもっと積極的に評価されていいだろう。
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