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[コメント] 華氏451(1966/英=仏)

背筋が凍るほど美しい物語。そして私は、この映画の中に自分を見た。
ダリア

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







序盤、ストーリーを追いかけながら「どうしてこんなヘンテコなモノレールなんだろう」とか「どうして女優は二役なんだろう」とか「文字の本はダメなのに漫画のペーパーはいいのか」とか「どうして読書が禁止されてる世の中で、モンターグはいきなり本(文字)を読めるんだろう」とか、つまらない揚げ足取りをしながら退屈半分に観ていたが、物語が進むにつれ、最初退屈だと思った私の予想はどんどん裏切られ、恐ろしいほど惹き込まれていった。

本と共に焼かれたオバサンも、本のために殺人を犯したモンターグも、あれは私の姿。今この瞬間にも、別の次元で、あの映画の中で息づいている私がいる。まるで鏡に映った自身を見るような感覚。映画の中に自分を見たのは初めての経験だった。

ある意味、私立図書館で本を批判した隊長の言葉は当たっているとも思う。本に取り憑かれた人間はいろんな意味で狂っていくと、私も感じた。

ラストの、雪の中を人々が暗唱しながら歩くシーン。ゾクゾクと背筋が凍るほど美しく、崇高なシーンだった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ジョー・チップ[*]

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