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[コメント] ジェーン・エア(1944/米)

冒頭からまるで恐怖映画のようなジョージ・バーンズの照明とバーナード・ハーマンの音楽。それが奏効して実に画面を盛り上げる。そしてなんと云っても、オーソン・ウェルズの圧倒的な存在感!
ゑぎ

**ネタバレ注意**
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 ジョーン・フォンテインの鬱陶しい演技だとか、ラストの性急さ(原作を端折ること甚だしい)とか難点はいくつもある。しかし私はこの映画が大好きで、本来比較するのはおかしいが、この映画を思い起こす際に連想の及ぶヒッチコック『レベッカ』やワイラー『嵐ヶ丘』なんかより、ずっと愛着がある。

#『レベッカ』はジョーン・フォンテインとジョージ・バーンズ繋がり。『嵐ヶ丘』はブロンテ姉妹繋がり。3作ともイギリスの由緒ある旧家を舞台にした、屋敷が主人公と云ってもよいメロドラマ。特に、『レベッカ』とはプロットがよく似ている。ヒロインによるナレーション、旧家の主との恋愛、前妻の存在、ラストで屋敷の炎上等。

 スタフ・キャストには、オーソン・ウェルズの息のかかった人が何人もいる。まず脚本のジョン・ハウスマン、音楽のバーナード・ハーマン、キャストには、ジェーンの叔母役を演じるアグネス・ムアヘッド。ウェルズはクレジットこそされていないが、実質的にはプロデューサーの一人だったはずで、もしかしたら、『第三の男』と同じく自身のシーンは演出もしていたのかも知れない。

 また、ペギー・アン・ガーナーエリザベス・テイラーマーガレット・オブライエンという有名な子役女優が3人出ていて、彼女達を見るのも楽しみの一つ。矢っ張りジェーン・エアの子供時代を演じるペギー・アン・ガーナーの演技が飛び抜けている。ペギー・アン・ガーナーとフォンテインのリレー・キャストは容貌上はさして違和感がないが、醸し出す雰囲気の上では違和感がある。勝ち気なアン・ガーナーがフォンテインに入れ替わった途端に画面が陰鬱なものになってしまう。ま、これはそういう映画なのだから仕方がない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)りかちゅ[*]

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