私はマックスの妄執の方が恐かった。彼女は結局あの男の手のひらで踊っていたのだろうか・・・ラスト、スワンソンは元より無表情な執事だったシュトロハイムの形相も変貌する。こっちも恐ろしいほどの迫力。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ５０歳くらいでなんで没落・・・とも思うんだが、サイレントからトーキーへの変革に翻弄された人々の運命がテーマのひとつなのだろう。『悪魔の手毬歌』にも出てくるが、トーキー革命に付いて行けず、脱落した映画人は多くいたと聞く。死体が語るサイレント映画の死。それは何を意味するのか、現在の映画、映画産業もいずれ死を迎えると言うことを暗示しているのか。ワイルダー監督のシニカルな視線を感じる。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ストーリー的には、ノーマがなぜあんなにギリスに執着したのか、その辺の動機付けが甘いと思った。殺される理由が弱いのだ。