[コメント] ほえる犬は噛まない(2000/韓国)
全般にゆったりとした移動撮影が心地よい。しかし、細かなテクニックは駆使していて、事務所を掃除するペ・ドゥナを、ディゾルブのジャンプカットで繋ぐ、なんてのもあるが、一番驚いたのは、
イ・ソンジェが参加する大学院生たちの飲み会のシーケンス、トイレで先輩と煙草を喫いながら会話するシーンで、ゆっくり、Vertigo(ドリー・ズーム)を行い、二人の後景だけを後退させるカットには驚いた。
でも、多分、多くの観客の記憶に残るのは、通路を逃げるイ・ソンジェを追うペ・ドゥナの場面でしょうね。フリージャズのBGMと、ポン引きのカッティング。倒れるドゥナを、スローモーションで2カットの引きで見せる演出だ。ポン引きの直前に、何故か、空を飛ぶ軍用機のカットを挿む。こゝカッコいい。
あと、女の子の黄色いレインコートからペ・ドゥナの黄色いパーカーへの連携や、鼻血と鼻につめたティッシュの画面が、ペ・ドゥナからイ・ソンジェへ反復される、なんてのも面白い。あるいは、ドゥナの友人が、車のサイドミラーを蹴る部分か。でもやっぱり、沢山の黄色いパーカーの人々と、紙吹雪のイメージショットが一番高揚感がありました。
ただし、地下室で聞かされるボイラー・キムの話、こゝ長いうえに面白くない。ゴミの中の浮浪者の描き方も中途半端だろう。それと、イ・ソンジェの奥さんの心持ちについても、もう少し丁寧に描いて欲しいと思いました。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。