[コメント] 10ミニッツ・オールダー イデアの森(2002/英=独)
作家の年齢差による時間感覚の差が10分という運動を多面的に捉えていて興味深いが作家のディレクションに疑問ありのSO-SOコンピレーション
姉妹編『人生のメビウス』と共に1パッケージで名だたる作家の仕事を見ることができる贅沢なコンピレーション・アルバムであるが、本編は『人生のメビウス』と比べて、メタフィジカルな内容の濃い作品の印象が強く、一作一作は多様な色彩を見せるがパッケージで評価するなら差し引いて平凡な風合いである。それはクレジットされた作家の力量の差が明らかなので、もしくは立脚する地平が違いすぎるので競作というスリリングな提示にならない仕置きとなっている。本編のハイライトはやはりゴダールの「時間の闇の中で」となるであろう。トリを努める風格として映画史を素材として提供されれば別格の扱いである。しかしさすがのゴダール、映画的興奮を買うのに構成、画の質感の提示、サウンドトラックは匠のディレクションとなっている。ともあれこの映画の価値は、映画愛に満ちたディレッタンティズムによるパフォーマンスということに尽きるだろう。今後もことあるごとに仕掛けたい映画産業におけるライフワークとすべきである。
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