[コメント] ロスト・イン・トランスレーション(2003/米=日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
実を言うと少し寝た。
上映時間は1時間40分だけど、少々退屈で時間以上に長く感じたのも事実。際立って凄い作品とも思えないし、徹底的に雰囲気で押し切っている感があるので、アカデミー賞脚本賞受賞にも少々疑問を感じる・・・と、言っても、俺が寝ている間にとんでもないドラマが展開していたのかもしれないけどね。
だけど、この作品の雰囲気がとても心地よく、この空虚な人物の空虚で寂しい旅の日々を呆然と眺めているだけでも、それはそれで良いかもしれない。撮影と音楽が上手く噛み合い、更に役者も上手く人物の心理を表現していると思う。
ただ、そこにドラマの起伏が少ない(俺が寝ている間に凄い事があったのかもしれないけどね)為、全体的に見て、イマイチ盛り上がりに欠ける。勿論製作者がその意図で作っているのも分かるし、そういう作品の存在も認める。大体、この手の作品が嫌いな訳じゃないし、こういう雰囲気に身を委ねるのも映画の醍醐味で、極上のひと時だと思う。演出が上手いのかな。
◇
でも、だからと言って面白いか、つーと・・・って意味分かりませんけど、あんまり面白くないと思うんですよね、コレ。でも嫌いじゃないんですよ。
退屈だし、ダラダラしてるし、ドラマもそんなに面白いとも思わなかったけど、何故か好きなんですよね。絶対に嫌いにはなれないと思う。まぁきっと監督もそういう意図でこの作品を作ったのだろうから成功と言えば成功なのかも。コレは脚本賞じゃなくて監督賞だね。
とにかく音楽センスがいいなぁ、と感心した。その雰囲気に身をゆだねすぎて眠くなったのは、疲れていたからかもしれないし、本当に眠くなっただけかもしれないけど、まぁ、雰囲気が好きなので。
強いて言えばそれ以上の物は音楽と撮影以外に見当たらなかった、ともいえなくも無いんだけど・・・
◇
見ている最中、ずっと外国人からは東京はどういう風に見えるのだろうか、と考えていた。俺は広島生まれの広島育ち。一応日本人である俺からですら、映画で何度も見た事あるにも関わらず新鮮な感じがしたというのに、外国人からはどういう風に見えるのだろうか。
そして、その異世界の中で、俺は寂しさを共有できた。ひと時でも、その空虚な心と寂しい日常に溶け込めたのだから、俺はこの映画に★3以下は付けられない。
◇
ラストシーン
人ごみの中、主人公二人が立ち止まって抱き合い、キスをする。どの映画でもやりつくされた、ありふれた演出、ありふれた光景。現実世界でお目にかかることもあるかもしれない。
だが、この映画の中で最も映画的であり、最も空虚さゆえの切なさを感じた。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。