[コメント] サバイビング ピカソ(1996/米)
アンソニー・ホプキンスを起用した事が、この映画の利点であり、最大の欠点である。
イギリスの名優であるアンソニー・ホプキンスがピカソを演じるとなれば、それなりの宣伝効果はでてくる。そして、彼の演技力ならば、どんな役でもこなしてしまうだろうから、この映画が面白くないはずがない。そう思わせる事が、彼を起用した利点だろう。
しかし、生っ粋のイギリス真摯である彼を、泥臭く、情熱的なスペイン人「ピカソ」に似せる事に物語りが終始しており、肝心のストーリーがちっとも面白くないのだ。
そもそも、ピカソの何が知りたいのかと言えば、38歳もの年下の美人を始め、多くの女性の人生を狂わせるまでに女性を虜にした魅力だ。つるつる頭でギョロ目、決して美男子には思えない彼が、これ程までに女性の心を掴むのか、それこそピカソの一番の謎であり、一番知りたい部分なのだ。それなのに、それがあまりピンと来ないのだ。
そのもう一つの理由は、この物語が、フランソワーズの視点から描いたものだからだ。
彼女が一番言いいたかったのは、「ピカソにとって私は特別」と言う事。
つまり、結局彼女もピカソの元を離れたと言いながらも、彼の特別な存在になりたかった女であり、ピカソにどうして自分がそこまで引き付けられたのかを理解していない女性だからだ。
一つ分かった事は、女性が自分自身の足で立っていける現在、ピカソのような人物は現れないだろう。男性優位の時代で、女性の人生が伴侶任せであるからこそ、女性は彼に没頭したのだ。とすれば、フランソワーズは、未来の象徴であり、ピカソこそ過去の遺物に過ぎないのだ。
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