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[コメント] 花とアリス(2004/日)

一種の青春映画で、これが共時性を有すのもなんとなくわかる。が、どうも超マニアックな世界を広げて見せてくれた感じ。
G31

 パンチラじゃないってば!

    ◇ ◇ ◇

 遅々として、前にも後ろにも進まないかけがえのないひとときを写真のように切り取り、ほんのかすかにビルドゥンクス・ロマンの形式を借りた、言わばほんの少し前向きな青春映画。

 この映画の描くところはこうだ。誰も人生の生き方を教えないし、教えてくれない。この中に出てくる大人と呼べる人物は、アリスの父親一人だけだが、彼さえも、この社会に根をはって生きている頼もしさは感じさせるものの、伝えるのはどれも雑学的な、断片的な知識ばかりで、生き方を教えない。今のこの世の中でわれわれは、他人に教え様のない人生を生きているのだ。だが本当はみんな知っている。それは自分で学びとらなければいけないということを。そしてその手掛かりは、今まで生きてきた体験の内に確実に培われているのだ、ということも。ただそのことに気付きさえすればいいのだけど。

 この映画は、観る者へ向けて、そういった気づきの効果を狙った作品である。この点に関し、冷静に丁寧に作られた作品であると思う。今の私には、これがどれだけの効果を発揮するものなのかわからない、というだけだ。また、こういった話に感動するような年齢でもなくなってしまった。蒼井優の決めポーズは安定と不安定の不思議なバランスがあって美しかったけど(↑レビュー冒頭へ)。

 難点を言うと、主演女優二人以外の周囲のキャラクターが類型的というか、意味なくコミカルな味付けをしており、漫画的な人物造形から抜けきれない感じが薄ら寒かった。あと、足音とか物音がやたらうるさくて耳障りだった。

75/100(07/12/30見)

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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