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[コメント] 花とアリス(2004/日)

そうか!『フラガール』の原型がここにあったのか!
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







岩井俊二監督はうまいですね。感動しました。

かつて『Love Letter』で泣いたあの感動が再びここにあったんですね。見事でした。

この映画で主演している蒼井優さんは、この後『フラガール』で見事にこの作品の経験(というかバレエの才能)を生かして、メジャーになりました。

そして岩井俊二監督にとっても、『Love Letter』依頼、『スワロウテイル』でもない『リリィ・シュシュ』でもない世界を再び取り戻したような優しさにあふれる映画になっていましたね。

でもこの主人公(蒼井優)の家庭を覗くと、親に恵まれない寂しい彼女の立場が写されます。それは『Love Letter』ではなくて、やはり『スワロウテイル』の世界。幼い子供や少女が”家”という世界からスピンオフして、別の世界で癒される。

この映画では、二人少女が少年に恋をして、少年が記憶を失ったことにしながらもてあそぶようなストーリーなのですが、蒼井優さんの役でいうと実はそれは父親に対する憧れだったりして、そのことが少年に対する思い出にシンクロしゆくあたりに大人の世界を感じました。

ドラマは最後にハッピーエンドをもたらしますが、そこにいたるまでの過程は、かなり現実的なものです。でもその悲劇的な現実を明るく表現することで、より一層悲しい思いが心に残ります。

少年と少女が公園の湖のほとりでトコロテンを食べるエピソードには涙しました。蒼井優さんが「ちょっとゴメン」といって慟哭するシーンですね。彼女は果たして何に涙したんでしょう。それは、自らがついた嘘が崩壊するからでもなく、少年に対する重いが溢れたわけでもなく、ただ「泣いた」だけなんです。この心情を理解できる若い方は多いのではないでしょうか。

少女がおお泣きするシーンは大人のオジサンが見るととても臨場感に溢れますね。

未来を望みつつも、現実の悲しみに立ち止まる少女たちの悲しさが画面いっぱいに溢れる映画でした。

2010/01/31(自宅)

(評価:★5)

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