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[コメント] コールド マウンテン(2003/米)

個々のエピソードは悪くないが、作品全体として見るとそれらが有機的に結合されていないため、クライマックスは盛り上がらず、テーマの深みの掘り下げも無い。ただ散漫な印象の映画になってしまった。
ぐるぐる

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







質の高いキャストを含め、いかにも金の掛かった映画として、それ相応の見どころは確かにあるのだけれど。

インマン(ジュード・ロウ) の物語とエイダ(ニコール・キッドマン)の物語、離れ離れになったふたりの経験が交互に平行して語られる構造はいいけど、それが互いに呼応しないため、何の効果も無い。

インマン側で彼が出会う堕落牧師、農夫の裏切り、森の老婆、戦争未亡人などのエピソードは、互いに関連しないばかりか全体のテーマにもつながらない。

一方のエイダ側は、ほとんどルビー(レニー・ゼルウィガー)の独り舞台。それぞれ対照的な父親との関係も、ルビーの方はボリューム的にも内容的にも説得力のある展開なのに対し、エイダの方は父親役にせっかくドナルド・サザーランドを持ってきているのに簡単なセリフでちょこっと「説明」されているだけ。

エイダ側の物語での他の登場人物は類型的な善玉悪玉以上の何者でもなく、たとえば信じがたいほど悲惨な体験をしたサリーが、その後何の苦悩の痕も見せないまま、坦々とした日常生活に戻るのも不自然きわまりない。

挙句の果てに、再会シーンでは、離れている間にお互いに背負ってきたものが交差しないために盛り上がらず、それを誤魔化すかのような唐突で露骨な描写のベッドシーンは場違いでしかない噴飯もの。この監督はダメだ・・・まさかアンソニー・ミンゲラでそんなことを思うとは。

もしかしたらディレクションの問題というよりもプロデュースの問題なのかもしれないけれど、なんだか書いていたら腹が立ってきて2点にしたくなってきた。とは言え、まあ、音楽は良かったし、空気感の伝わる撮影、景色はキレイだし、何と言っても寒い風景の似合うキッドマンだし、やっぱり3点かな。

(評価:★3)

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